
「朝起きると顔がむくむ」
「体が重くてだるい」
「雨の日に頭が重くなる」
——それは、体内の「水の巡り(水滞)」が滞っているサインかもしれません。
五苓散(ごれいさん)は、のどの渇きや尿量の減少を伴うむくみ、頭痛などに用いられる漢方薬です。
症状や体質に合わせて継続する場合もありますが、改善がないまま飲み続けることは避けます。
「長く飲めば体質が変わる」と考えず、効果と体調を確認することが大切です。
この記事では、五苓散の働きに加え、飲み続ける場合の注意点、見直しや中止を相談する目安を解説します。
この記事の結論
- 五苓散は、のどの渇きや尿量の減少を伴うむくみ、頭痛などに使われます。体脂肪を減らす目的の薬ではありません。
- 服用期間は、症状や使用する製品によって異なります。医療用は処方医の指示に従い、市販薬は説明文書にある相談の目安を確認してください。
- 効果がないまま続けたり、副作用が疑われる症状を我慢したりしないでください。改善した場合も、必要以上に続けず、継続の必要性を医師や薬剤師と確認しましょう。
五苓散とは?

写真は生薬のイメージです
五苓散は、漢方で「水」の偏りに対応する「利水剤(りすいざい)」に分類される処方です。
例えば、ツムラの医療用製剤では、のどの渇きと尿量の減少がある人の、むくみ、頭痛、めまい、下痢、二日酔いなどが効能・効果に含まれます。
使用するときは、症状の組み合わせや体質を確認します。※1
構成生薬 | 読み方 |
|---|---|
沢瀉 | たくしゃ |
茯苓 | ぶくりょう |
猪苓 | ちょれい |
白朮または蒼朮 | びゃくじゅつ/そうじゅつ |
桂皮 | けいひ |
製品によって、白朮または蒼朮が使われます。
例えば、ツムラの医療用製剤には蒼朮、「クラシエ」漢方五苓散料エキス顆粒には白朮が配合されています。配合量や服用量も製品ごとに確認してください。※1・2
五苓散の効能は、生薬を組み合わせた処方全体として確認します。
東洋医学で考える「水の滞り」とは
漢方では、体の状態を「気・血・水」という考え方で捉えます。このうち「水」は血液以外の体液を指し、その停滞や偏りを「水滞(すいたい)」などと呼びます。※3
むくみなどを考えるための漢方独自の概念であり、西洋医学の病名や検査結果と同じものではありません。
次のような不調があるときも、症状の組み合わせや原因を確認します。
- 顔や脚のむくみ
- 頭重感やめまい
- 胃のムカつきや下痢
- 天気(特に低気圧)による体調変化
主な効果

五苓散は、のどの渇きや尿量の減少を伴うむくみに用いられます。ただし、朝の顔のむくみや夕方の脚のむくみだけで、五苓散が合うとは判断できません。
むくみには、長時間同じ姿勢でいることや塩分のとりすぎのほか、心臓・腎臓などの病気が関わる場合もあります。続くむくみや原因の分からないむくみは、医療機関で確認しましょう。
五苓散は、天候や気圧の変化に伴う頭痛で使われることもあります。ただし、「気象病」という呼び名だけで薬を選ぶのではなく、のどの渇きや尿量など、ほかの症状も確認します。
頭痛やめまいにはさまざまな原因があります。繰り返す場合は、いつ起きるか、どのくらい続くかを記録して診察で伝えると、状態を説明しやすくなります。
一般用の五苓散には、のどの渇きや尿量の減少を伴う水様性下痢、急性胃腸炎などを対象とする製品があります。
ただし、残便感があり、繰り返し腹痛を伴う便意を催す「しぶり腹」には使用しないよう定められています。胃もたれや食欲不振など、お腹の不調全般に合う薬ではありません。
五苓散の効能・効果には二日酔いが含まれ、のどの渇きや尿量の減少などを確認して使用します。
ただし、アルコールを早く分解したり、飲酒の影響を帳消しにしたりする薬ではありません。二日酔いには脱水、胃への刺激、睡眠の乱れなども関わるため、薬があるからと飲酒量を増やさないでください。
五苓散で痩せる?むくみと体脂肪の違い
むくみと、体脂肪が増えた状態は異なります。五苓散はむくみに用いられますが、体脂肪を減らす目的の薬ではありません。
むくみが改善して体重や見た目に変化があっても、それだけで脂肪が減ったとはいえません。また、肌のくすみやニキビの予防を目的に、五苓散を飲み続けることは勧められません。
体重や体型が気になるときは、むくみなのか、体脂肪の変化なのかを分けて考えましょう。
飲み続けるとどうなる?

五苓散は、症状や体質に合う場合に継続して処方されることがあります。ただし、「飲み続ければむくまない体質になる」「長く飲むほど効果が高まる」とは限りません。
医療用製剤では、経過を観察し、症状の改善が認められない場合は継続投与を避けるよう定められています。処方された日数だけでなく、次にいつ効果を確認するかも、処方医と共有しておきましょう。
市販薬では、製品の説明文書にある「改善しない場合の相談目安」を確認します。例えば、「クラシエ」漢方五苓散料エキス顆粒では、以下のように案内されています。
使用する症状 | 改善しない場合に、服用を中止して相談する目安 |
|---|---|
むくみ・頭痛など、下記以外の対象症状 | 1ヶ月くらい服用しても改善しない場合 |
急性胃腸炎・二日酔い | 5〜6回服用しても改善しない場合 |
水様性下痢・暑気あたり | 5〜6日間服用しても改善しない場合 |
出典:「クラシエ」漢方五苓散料エキス顆粒の使用上の注意。※2
これは「効果が出るまでに必要な期間」や「必ずこの期間は飲み続ける」という意味ではありません。症状が悪化する場合や副作用が疑われる場合は、この目安を待たずに相談してください。ほかの製品を使用する場合は、その製品の説明文書を確認します。
症状が落ち着いたときも、予防のために自己判断で飲み続けるのではなく、継続が必要かを確認しましょう。処方薬の減量・中止や再開は、症状の経過に合わせて処方医と決めます。
飲み方と注意点
服用のタイミング
服用量・回数・タイミングは、製品によって異なります。「五苓散はすべて1回1包、1日3回」とは限りません。
例えば、ツムラの医療用製剤では、通常、成人は1日7.5gを2〜3回に分け、食前または食間に服用します。年齢・体重・症状によって調整されるため、処方された用法を守ってください。※1
市販薬は、箱や説明文書に記載された年齢別の用量に従います。症状が出たときだけ飲む使い方についても、自己判断で変更せず確認してください。
併用の注意
ほかの漢方薬と組み合わせると、同じ生薬が重複する場合があります。処方薬だけでなく、市販の漢方薬やサプリメントも含め、使用しているものを医師や薬剤師に伝えてください。
「むくみに使う薬だから一緒に飲める」とは限りません。薬を追加する前に、製品名と服用量を確認してもらいましょう。
副作用

五苓散にも副作用があります。漢方薬だから安全、長く飲んでも問題がない、と考えないようにしましょう。
- 発疹、発赤、かゆみなど
- 肝機能異常
服用後に異常が現れた場合は、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。長期服用のときだけでなく、飲み始めから体調の変化を確認します。※1
妊娠中・妊娠の可能性がある方、授乳中の方、持病がある方、ほかの薬を使用している方は、服用前に相談してください。特にむくみの原因となる病気で治療中の場合は、現在の治療とあわせて判断する必要があります。
取り入れるポイント
実践のヒント
似た漢方との違い

むくみや体重の悩みで使われる漢方薬でも、対象となる体質や症状は異なります。
以下は、ツムラの医療用製剤の電子添文をもとに、特徴の一部を整理したものです。
漢方薬 | 対象となる体質・症状の例 |
|---|---|
五苓散 | のどの渇きや尿量の減少を伴う、むくみ・頭痛など |
防已黄耆湯 | 疲れやすく汗が多い水太りの体質で、脚のむくみなどがある場合 |
防風通聖散 | お腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな人の肥満症・むくみなど |
当帰芍薬散 | 疲れやすく腰や脚が冷えやすい人の、貧血・月経不順など |
出典:五苓散は※1、防已黄耆湯は※6、防風通聖散は※7、当帰芍薬散は※8。
効能・効果の一部を示した表で、自己診断や併用を勧めるものではありません。製品ごとの説明文書を確認し、症状や持病、使用中の薬を踏まえて選びます。
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すでに五苓散を処方されている方は、まず処方元に、服用後の変化や継続について相談しましょう。

まとめ
五苓散は、のどの渇きや尿量の減少を伴うむくみ、頭痛などに用いられる漢方薬です。
- 飲み続ければ体質が根本から変わる、という薬ではありません。
- 服用期間や用量は、症状と使用する製品によって異なります。
- 改善がないときや副作用が疑われるときは、自己判断で続けず相談してください。
- むくみの改善と体脂肪の減少は別です。痩せる目的だけで服用しないようにしましょう。
継続するかどうかは、症状の変化と体調を確認して判断します。使用している製品名、服用期間、気になる症状を整理すると、医師や薬剤師に相談しやすくなります。
FAQ
症状や体質に合う場合に、継続して処方されることがあります。ただし、飲み続ければむくまない体質になる、という意味ではありません。
効果がないまま続けず、症状の変化と体調を確認して、継続の必要性を医師や薬剤師と相談してください。
体質や症状、使用する製品によって異なり、一律に「数時間」「1〜2ヶ月」とは決められません。
市販薬は、説明文書にある「改善しない場合の相談目安」を確認してください。具体例は本文の「継続・見直しの目安」にまとめています。症状が悪化する場合は、目安の期間を待たずに相談しましょう。
毎日服用するか、どのタイミングで使うかは、製品と処方内容によって異なります。処方薬は医師の指示、市販薬は説明文書に従ってください。
症状があるときだけ飲む、回数を増やすなどの変更は、自己判断で行わないようにしましょう。
五苓散は体脂肪を減らす目的の薬ではなく、何kg痩せるかという目安は示せません。
むくみが改善して体重に変化があっても、それだけで脂肪が減ったとはいえません。体重の数字だけを理由に服用を続けないようにしてください。
あります。ツムラの医療用製剤では、発疹・発赤・かゆみなどと、肝機能異常が記載されています。
服用後に異常が現れた場合は、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。使用する製品の副作用も確認しておきましょう。
併用できるかは、組み合わせと服用量によって異なります。漢方薬同士では、同じ生薬が重複する場合があります。
処方薬、市販薬、サプリメントを含めて使用しているものを伝え、追加する前に医師や薬剤師に確認してください。
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参考文献・出典
※1 PMDA掲載「ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)」電子添文
2023年12月改訂(第1版)。
参照箇所:3.1「組成」、4「効能又は効果」、6「用法及び用量」、8「重要な基本的注意」、9「特定の背景を有する患者に関する注意」、11「副作用」。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987138801712
※2 クラシエ「『クラシエ』漢方五苓散料エキス顆粒」添付文書
参照箇所:「成分」「効能」「用法・用量」「使用上の注意」。
本記事では、一般用製剤の配合生薬と、改善しない場合の服用中止・相談目安を参照。
https://www.kracie.co.jp/products/pdf/4987045050442.pdf
※3 日本薬学会「気血水」
2024年5月13日作成・更新。
参照箇所:「気・血・水」の定義、「水滞」に関する説明。
https://www.pharm.or.jp/words/post-82.html
※4 NHS「Swollen ankles, feet and legs(oedema)」
2026年2月26日見直し。
参照箇所:むくみの原因、受診を急ぐ症状、日常生活での対処。
https://www.nhs.uk/conditions/oedema/
※5 米国国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)「Hangovers」
参照箇所:「What Causes Hangover Symptoms?」「Are There Any Remedies for a Hangover?」。
本記事では二日酔いの一般的な仕組みを参照し、五苓散の効能の根拠としては使用していません。
https://www.niaaa.nih.gov/publications/brochures-and-fact-sheets/hangovers
※6 PMDA掲載「ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)」電子添文
2023年12月改訂(第1版)。
参照箇所:4「効能又は効果」。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987138802016
※7 PMDA掲載「ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)」電子添文
2023年12月改訂(第1版)。
参照箇所:4「効能又は効果」。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987138806212
※8 PMDA掲載「ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒(医療用)」電子添文
2023年12月改訂(第1版)。
参照箇所:4「効能又は効果」。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987138802320
※9 クラシエ「【漢方解説】二日酔いや頭痛に効く五苓散(ごれいさん)の効果や副作用について」
2026年6月1日更新。
参照箇所:気圧頭痛に関する説明、効果が出るまでの期間に関するFAQ。
https://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/goreisan.html
※10 Mimipo公式サイト
参照箇所:「オンライン診療の流れ」「よくあるご質問」。
医学的説明ではなく、診療予約の案内の確認に使用。
閲覧日:2026年10月1日
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