
「なかなか体重が落ちない」
「むくみやすくてスッキリしない」
「できれば自然な方法で体を整えたい」
——そんな悩みを抱える方の間で、いま注目を集めているのが防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)です。
防風通聖散は、脂肪や水分の巡りを整えるサポートとして用いられる複数の生薬が組み合わされた漢方薬。
体脂肪や便秘、むくみなどの体調管理をサポートする場合がありますのが大きな特徴です。「漢方で無理なく痩せたい」「体質から整えたい」という方にとって、体調管理の一助として選択されることがあります。
本記事では、防風通聖散の作用メカニズムや効果を感じ始めるタイミングなどを、初めての方でもわかりやすく解説します。
この記事の結論
- 防風通聖散は、お腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症などに用いられます。体重が気になる方すべてに合う薬ではありません。
- 体重や内臓脂肪への作用を調べた研究はありますが、飲むだけでお腹の脂肪が落ちることや、何kg痩せるかを保証するものではありません。
- 甘草や麻黄などを含み、副作用や飲み合わせへの注意が必要です。改善がないまま続けたり、副作用を我慢したりせず、医師や薬剤師に相談しましょう。
防風通聖散とは?

写真は生薬のイメージです
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は、体の巡りや水分バランスを整える漢方薬として古くから使われてきました。肥満症や便秘、むくみなどに対して、医療現場でも処方されることがある、代表的な漢方です。
お薬について
防風通聖散は、お腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症、むくみ、便秘などに用いられます。体質や症状を確認して使用する漢方薬です。
用法・用量
製品によって異なります。例えば、ツムラの医療用製剤では、通常、成人は1日7.5gを2〜3回に分け、食前または食間に服用します。年齢・体重・症状によって調整されるため、処方された用法を守ってください。
主な副作用
発疹、吐き気、腹痛、軟便・下痢、動悸、不眠などが記載されています。重大な副作用と受診の目安は、後の「防風通聖散の副作用と注意点」で解説します。
18種類の生薬を組み合わせた処方
防風通聖散は、18種類の生薬を組み合わせた漢方薬です。
例えば、ツムラの医療用製剤には、次の生薬が配合されています。
滑石、黄芩、甘草、桔梗、石膏、白朮、大黄、荊芥、山梔子、芍薬、川芎、当帰、薄荷、防風、麻黄、連翹、無水芒硝、生姜。
配合される生薬は、副作用や飲み合わせにも関わります。
特に、甘草や麻黄を含むほかの薬との重複、大黄による便通の変化、山梔子を含む製剤の長期服用には注意が必要です。※1
防風通聖散の効果と働き

防風通聖散については、動物実験と人を対象にした研究があります。
ツムラの医療用製剤の電子添文には、肥満モデルのマウスで褐色脂肪組織の活性化や体重増加の抑制が認められたと記載されています。ただし、これは動物実験の結果であり、人が服用したときの減量幅を示すものではありません。
人を対象にした研究では、耐糖能異常がある肥満の日本人女性に、食事・運動療法とあわせて24週間使用した試験があります。この試験では、防風通聖散の群で、プラセボ群より体重や内臓脂肪が大きく減少したと報告されています。※3
ただし、対象者や食事・運動の条件がある研究です。体重が標準の方への美容目的の使用や、薬だけでお腹の脂肪を落とす効果を示したものではありません。個人の減量幅や、お腹だけが細くなることを保証する結果でもありません。
防風通聖散は、体質・症状に合わせて便秘にも用いられます。配合される大黄には便通を促す作用があり、その作用の現れ方には個人差があります。
便通が変わって体重が減ったとしても、それだけで体脂肪が減ったとはいえません。また、食べた脂質や糖質を吸収させない目的の薬ではありません。
下痢になるほど効かせることを目標にせず、便の状態や腹痛の有無を確認しましょう。下痢が続く場合や強い腹痛がある場合は、服用を中止して相談してください。
防風通聖散の効果が現れるまでの期間

効果を確認する時期は、体質や症状、使用する製品によって異なります。
「漢方だから数ヶ月続ければ効く」と考えず、症状が改善しているかを確認しましょう。
例えば、一般用の「ツムラ漢方防風通聖散エキス顆粒」では、1ヶ月くらい服用しても症状がよくならない場合は、服用を中止して医師・薬剤師・登録販売者に相談するよう案内されています。便秘に使用する場合の相談目安は、1週間くらいです。※2
これは、効果が出るまでに必ず必要な期間ではありません。症状が悪化する場合や副作用が疑われる場合は、その期間を待たずに相談してください。
医療用の製剤でも、改善が認められない場合は継続投与を避けるとされています。処方医と、効果を確認する時期や継続の必要性を相談しましょう。
防風通聖散の副作用と注意点

防風通聖散にも副作用があります。漢方薬だから安全とは限らず、用法・用量を守っていても体調の変化に注意が必要です。服用前に、起こり得る症状と、どのようなときに受診するかを確認しておきましょう。
主な副作用と受診の目安
ツムラの医療用製剤には、次のような副作用が記載されています。発現頻度は不明です。
確認したい副作用 | 症状の例 |
|---|---|
皮膚・胃腸などの症状 | 発疹、かゆみ、食欲不振、吐き気、腹痛、軟便・下痢 |
動悸・不眠など | 動悸、脈が速くなる、眠れない、汗が多くなる |
偽アルドステロン症・ミオパチー | 血圧上昇、むくみ、体重増加、手足のだるさ、筋力低下、筋肉のけいれん |
間質性肺炎 | せき、息苦しさ、発熱 |
肝機能障害・黄疸 | 強いだるさ、皮膚や白目が黄色くなる、尿が褐色になる |
腸間膜静脈硬化症 | 腹痛、下痢、便秘、お腹の張りを繰り返す |
電子添文と患者向医薬品ガイドをもとに作成。※1・4
服用後に異常が現れた場合は、服用を中止して相談してください。特に、息苦しさや発熱、筋力低下、黄疸、繰り返す腹痛などがある場合は、速やかに医療機関へ連絡・受診します。
甘草によって血液中のカリウムが低下し、偽アルドステロン症や筋肉の異常につながることがあります。また、山梔子を含む製剤の長期服用では、腸間膜静脈硬化症に注意が必要です。
むくみを改善するために飲んでいても、副作用でむくみや体重増加が起こる場合があります。「効いていないだけ」と考えて増量しないでください。
使用前に確認したい体質・健康状態

防風通聖散は、お腹の脂肪が気になるという理由だけで選ぶ薬ではありません。使用を考える体質と、事前に伝えたい健康状態を分けて確認しましょう。
確認する項目 | 目安・相談したいこと |
|---|---|
使用を検討する体質・症状 | 一般用製剤では、体力が充実し、お腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな方が対象 |
胃腸や体力の状態 | 下痢・軟便、胃腸の弱さ、食欲不振、病後の衰弱、著しい発汗がある場合は事前に相談 |
持病・治療歴 | 高血圧、心臓病、腎臓病、甲状腺の病気、排尿しにくさなどを伝える |
年齢や妊娠・授乳 | 高齢、妊娠中・妊娠の可能性、妊娠の希望、授乳中であることを伝える |
出典:一般用製剤の使用対象は※2、医療用製剤の注意事項は※1。
妊娠中または妊娠している可能性がある方について、医療用の電子添文では投与しないことが望ましいとされています。妊娠を希望する方も、事前に医師へ相談してください。
授乳中は、乳児に下痢が起こることがあるため、授乳の継続も含めて医師と判断します。一般用製剤では「服用しないか、服用する場合は授乳を避ける」と案内されています。
高齢の方は減量するなどの注意が必要です。体質・症状や持病を確認して、使用が適切かを判断します。
服用時に避けるべき行動
防風通聖散には、併用に注意する薬があります。特に、甘草やグリチルリチン、麻黄、エフェドリン類を含む薬との重複を確認します。市販のかぜ薬や漢方薬も含め、使用中の製品を医師や薬剤師に伝えてください。
一般用の「ツムラ漢方防風通聖散エキス顆粒」では、服用中にほかの下剤を使用しないよう案内されています。便秘が続いても、自己判断で下剤を追加しないでください。
体重が変わらない、便が出ないなどの理由で、服用量や回数を増やさないでください。飲み忘れた場合も、2回分をまとめて飲むことは避けます。
薬は水またはぬるま湯で飲む
処方された指示や製品の説明文書に従って服用してください。飲酒の習慣や、ほかに飲んでいる薬についても、診察や薬の相談で伝えましょう。
防風通聖散だけで大きな変化を期待するのではなく、食事や運動も含めて治療の経過を確認します。効果がないときや不調があるときは、自己判断で追加・増量せず相談してください。
似た漢方との使い分け

むくみや体重の悩みで使われる漢方薬でも、対象となる体質・症状は異なります。以下は、ツムラの医療用製剤の電子添文をもとに、特徴の一部を整理したものです。
漢方薬 | 対象となる体質・症状の例 |
|---|---|
防風通聖散 | お腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症・むくみなど |
防已黄耆湯 | 疲れやすく汗が多い水太りの体質で、脚のむくみなどがある場合 |
五苓散 | のどの渇きや尿量の減少を伴う、むくみ・頭痛など |
当帰芍薬散 | 疲れやすく腰や脚が冷えやすい方の、貧血・月経不順など |
出典:防風通聖散は※1、防已黄耆湯は※6、五苓散は※7、当帰芍薬散は※8。
効能・効果の一部を示した表で、自己診断や併用を勧めるものではありません。体質・症状に加え、持病や使用中の薬も確認して選びます。
Mimipoオンラインクリニックのご案内
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Mimipoでは、防風通聖散を含む医療用漢方の診療プランを案内しています。診察では健康状態や使用中の薬を確認し、薬による治療の必要性と処方の可否を医師が判断します。
薬を決めてからではなく、治療方法を比較する段階からご相談いただけます。便通や体調の変化、これまでに使用した薬についてもお伝えください。

まとめ
- 防風通聖散は、お腹に皮下脂肪が多く、便秘がちな方の肥満症などに用いられる漢方薬です。
- 体重や内臓脂肪への作用を調べた研究はありますが、飲むだけで痩せることや、お腹だけの脂肪が落ちることを保証するものではありません。
- 服用量と回数は製品によって異なります。処方薬は医師の指示、市販薬は説明文書に従ってください。
- 甘草や麻黄などによる副作用・飲み合わせに注意が必要です。改善がない場合や不調がある場合は、自己判断で続けず相談しましょう。
体重の数字だけでなく、便通や体調の変化も確認することが大切です。気になる点を整理し、食事や運動も含めた治療方針を医師や薬剤師と考えていきましょう。
よくある質問
飲むだけでお腹の脂肪が落ちるとはいえません。体重や内臓脂肪への作用を調べた研究にも、対象者や食事・運動の条件があります。
また、便通やむくみの変化による体重減少と、体脂肪の減少は同じではありません。体質に合っているかを確認し、生活習慣も含めて考えましょう。
同じ防風通聖散でも、製品によって1包・1錠あたりの量、エキスの量、服用回数などが異なります。
市販薬だから弱い、処方薬だから必ずよく効くとは一律に判断できません。製品名と用法・用量を確認し、自己判断で置き換えたり、両方を重ねて飲んだりしないでください。
症状と使用する製品によって異なります。改善がなくても数ヶ月続ける、と決めないようにしてください。
市販薬は説明文書にある相談目安に従い、処方薬は処方医と効果を確認します。本文の「効果が現れるまでの期間」に、一般用製剤の具体例をまとめています。
カフェインのとりすぎでも、心拍数の増加や不眠などが起こることがあります。※9 防風通聖散にも動悸や不眠などの副作用があるため、コーヒーやエナジードリンクを多く飲む習慣がある方は、その量も相談時に伝えてください。
「何杯までなら必ず安全」と一律にはいえません。薬自体は、指示されたとおり水またはぬるま湯で服用しましょう。
下痢が続く、強くなる、腹痛を伴うなどの場合は、服用を中止して医師や薬剤師に相談してください。強い腹痛や、腹痛・下痢・便秘を繰り返す場合は、早めに受診しましょう。
下痢になるほど効かせることが、減量につながるわけではありません。
併用できるかは、薬の組み合わせ、持病、現在の症状などによって判断します。防風通聖散が市販薬であっても、自己判断で追加しないでください。
別の医療機関で処方を受けている薬も含め、製品名と服用量を伝え、併用の必要性から処方医に確認しましょう。
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参考文献・出典
※1 PMDA掲載「ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)」電子添文
2023年12月改訂(第1版)。
参照箇所:3.1「組成」、4「効能又は効果」、6「用法及び用量」、8「重要な基本的注意」、9「特定の背景を有する患者に関する注意」、10.2「併用注意」、11「副作用」、18「薬効薬理」。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987138806212
※2 ツムラ「ツムラ漢方防風通聖散エキス顆粒」製品情報・添付文書
添付文書:2018年2月改訂。
参照箇所:「効能・効果」「用法・用量」「成分・分量」「使用上の注意」。
本記事では、一般用製剤の使用対象、服用方法、改善しない場合の相談目安を参照。
製品情報:
https://www.tsumura.co.jp/brand/products/kampo/062.html
添付文書:
https://www.tsumura.co.jp/brand/products/item/PI_N-062_311062.pdf
※3 Hioki C, Yoshimoto K, Yoshida T.
Efficacy of bofu-tsusho-san, an oriental herbal medicine, in obese Japanese women with impaired glucose tolerance.
Clin Exp Pharmacol Physiol. 2004;31(9):614–619.
参照箇所:抄録の対象者、食事・運動療法、24週間の試験結果。
本記事では、抄録で確認できる範囲を使用。
https://doi.org/10.1111/j.1440-1681.2004.04056.x
※4 PMDA「ツムラ防風通聖散エキス顆粒(医療用)患者向医薬品ガイド」
2018年2月更新。
参照箇所:「この薬を使う前に、確認すべきことは?」「この薬の使い方は?」「この薬の使用中に気をつけなければならないことは?」。
本記事では、副作用の自覚症状と対応、服用方法を参照。
https://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/GUI/460026_5200130D1060_1_00G.pdf
※5 厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 偽アルドステロン症」
2022年2月改定。
参照箇所:「患者の皆様へ」。
本記事では、甘草などとの関係、血圧上昇・むくみ・筋力低下などの説明を確認。
https://www.pmda.go.jp/files/000245267.pdf
※6 PMDA掲載「ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)」電子添文
参照箇所:4「効能又は効果」。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987138802016
※7 PMDA掲載「ツムラ五苓散エキス顆粒(医療用)」電子添文
参照箇所:4「効能又は効果」。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987138801712
※8 PMDA掲載「ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒(医療用)」電子添文
参照箇所:4「効能又は効果」。
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/bookSearch/01/14987138802320
※9 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」
参照箇所:Q1・Q2。
本記事では、カフェインの過剰摂取による心拍数の増加・不眠などを参照。防風通聖散との併用が一律に禁止されることを示す資料としては使用していません。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
※10 Mimipo公式「メディカルダイエット・肥満症」
参照箇所:漢方プラン、オンライン診療の案内、診察料、自由診療・配送料の表示。
医学的説明の根拠ではなく、記事内の診療案内の確認に使用。
閲覧日:2026年10月4日

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