
体型管理でよく使われる指標といえばBMIですが、近年注目されているのがFFMI(除脂肪量指数)です。
BMIでは分からない「脂肪を除いた体の重さ(除脂肪量)」を評価できる指標で、体脂肪率と組み合わせることで体組成のバランスが見えてきます。
この記事では、BMIとFFMIの違い、正しい測り方、そしてダイエットとの関係をやさしく解説します。
この記事の結論
- FFMIは、身長に対する除脂肪量の多さを示します。除脂肪量には筋肉以外の組織や水分も含まれるため、筋肉量や見た目を数値だけで判断することはできません。
- 計算式は「除脂肪量÷身長の2乗」です。身長・体重・体脂肪率が分かれば計算できます。
- 参考値を見るときは、性別だけでなく、対象者の年齢や測定方法も確認します。BMI、体脂肪率、腹囲、体調などとあわせて活用しましょう。
BMIとFFMI

FFMI(Fat-Free Mass Index)
体重から脂肪量を引いた「除脂肪量」を、身長の2乗で割った指標です。除脂肪量には、筋肉だけでなく、骨や内臓、体内の水分なども含まれます。
- 計算式:FFMI = 除脂肪量(kg) ÷ 身長(m)²
- 除脂肪量は「体重 × (100 − 体脂肪率) ÷ 100」で算出
BMIでは区別できない、脂肪以外の部分に目を向けられる点が特徴です。ただし、FFMIだけで筋肉量や筋力、体型の見え方を詳しく判断することはできません。
BMI(Body Mass Index)
身長と体重から計算される肥満度の指標です。
- 計算式:BMI = 体重(kg) ÷ 身長(m)²
BMIはシンプルで誰でも計算できますが、筋肉と脂肪を区別できないという欠点があります。
(日本の基準:18.5以上25未満が「普通体重」)
FFMIの計算例|BMIだけでは分からない体型の違い

具体的な数値を使ってFFMIを計算し、BMIとあわせて体型の特徴を確認してみましょう。
①除脂肪量を算出
除脂肪量=80×(100−14)÷100=68.8kg
②FFMIを算出
FFMI=68.8(kg) ÷〔1.75(m) × 1.75(m)〕=22.5
この例のBMIは26.1、FFMIは22.5です。BMIだけでは分からなかった体重の内訳を、体脂肪率とFFMIを使って確認できます。FFMIで見ると除脂肪量がかなり多い、筋肉量の多い体型であることが分かります。
除脂肪量=50×(100−33)÷100=33.5kg
FFMI=33.5 ÷〔1.58 × 1.58〕=13.4
この例はBMI20.0の「普通体重」ですが、体脂肪率は33%、FFMIは13.4で標準を下回っています。体重は標準でも除脂肪量が少なく体脂肪率が高い、いわゆる隠れ肥満のパターンです。ただし普通体重の範囲でも、体脂肪率や除脂肪量は人によって異なります。「隠れ肥満」と決め付けず、腹囲や健診結果などもあわせて確認しましょう。
既存の条件 | 計算結果 |
|---|---|
身長175cm・体重80kg・体脂肪率14% | 除脂肪量68.8kg、FFMI 22.5、BMI 26.1 |
身長158cm・体重50kg・体脂肪率33% | 除脂肪量33.5kg、FFMI 13.4、BMI 20.0 |
BMIの基準とFFMIの男女別の目安
BMIの基準
日本の成人のBMI分類では、男女とも18.5以上25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」です。
BMI22は標準体重を計算するときの基準ですが、「22以外は標準ではない」という意味ではありません。また、肥満に分類されることと、医学的な減量が必要であることは同じではありません。※1
FFMIの参考値
FFMIの参考値は、調査した人の性別・年齢や測定方法によって変わります。
以下は、宮城県に住む20歳以上の男女を対象とした研究のデータです。参加者は2013〜2016年に募集され、体重・体脂肪率は体組成計で測定されています。
研究参加者の情報・FFMI | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
対象人数 | 3,736人 | 8,821人 |
平均年齢 | 60.1歳 | 56.2歳 |
FFMIの中央値(kg/m²) | 18.0 | 15.2 |
FFMIの中央50%の範囲(四分位範囲) | 17.0〜18.9 | 14.5〜16.0 |
Takaseらの論文のTable 1・2から、人数・年齢・FFMIを抜粋して作成。※2
中央値は、数値を順に並べたときの中央の値で、平均値とは異なります。この表は研究参加者の分布を示すもので、正常・異常やトレーニングレベルの判定基準ではありません。
BMIとFFMIの違いと特徴

BMIは身長と体重、FFMIは身長と除脂肪量を使う指標です。BMIでは区別できない体重の内訳を、体脂肪率やFFMIとあわせて確認できます。
ただし、FFMIも筋肉量や健康状態を直接判定するものではありません。測定条件の影響については、後の「FFMIの限界と注意点」で解説します。
項目 | BMI | FFMI |
|---|---|---|
計算に使う数値 | 身長・体重 | 身長・体重・体脂肪率 |
分かること | 身長に対する体重の程度 | 身長に対する除脂肪量の多さ |
活用する場面 | 肥満度を確認する | 体の構成や変化を確認する補助指標として使う |
注意点 | 筋肉と脂肪を区別できない | 筋肉量だけを示すものではなく、体脂肪率の推定誤差や水分状態の影響を受ける |
出典:BMI・FFMIの定義は※1・2、測定条件に関する説明は※3。
BMIとFFMIをあわせて見ると、追加で確認したい点を整理できます。ただし、2つの数値だけで体型を分類したり、減量の必要性を決めたりすることはできません。
BMI | FFMI | あわせて確認したいこと |
|---|---|---|
普通体重の範囲 | 低め | 体脂肪率や腹囲、食事内容、筋力などを確認する。「隠れ肥満」と数値だけで決めない |
高い | 高め | 除脂肪量が多くても、体脂肪が多くないとは限らない。腹囲や健診結果も確認する |
高い | 低め | 体脂肪率や健康状態を確認し、減量が必要か、どのように進めるかを検討する |
低い | 低め | さらに体重を減らそうとせず、食事量や栄養状態を確認する。意図しない体重減少や不調があれば受診する |
FFMIの「高め・低め」は、性別・年齢・測定方法が近い参考データと比べる際の相対的な表現です。この表は確認項目を整理したもので、病気や体型を診断する分類表ではありません。
FFMIを向上するための方法

FFMIを上げる唯一の方法は、除脂肪量そのものを増やすことです。FFMIの分子は「体重に対する筋肉の割合」ではなく除脂肪量の絶対値なので、身長と除脂肪量が変わらなければ、脂肪だけが減ってもFFMIは変化しません。減量中はむしろ除脂肪量も落ちやすく、FFMIは下がる方向に働きます。
減量で見た目が引き締まるのは、FFMIが上がったからではなく体脂肪率(およびFMI=脂肪量指数)が下がったためです。ダイエット期の目標は「FFMIを上げる」ではなく「FFMIを落とさずに体脂肪を減らす」こと。そのために、十分なタンパク質摂取と筋トレを継続しながら、極端なカロリー制限や過剰な有酸素運動を避けることが重要です。
筋肥大を目指す
筋トレ初心者の場合、最初の1~2年は「初心者ボーナス」と呼ばれる成長期が得られ、FFMIが急激に向上しやすい傾向があります。目標として、2年間でFFMIを3上昇させることを設定し、計画的に筋トレを進めると良いでしょう。また、プロテイン補給を行うことで、筋肥大をサポートしFFMIの向上に役立ちます。
食事とサプリメントの改善
まずは、たんぱく質と必要なエネルギーを食事から取ることを考えましょう。炭水化物もトレーニングを支えるエネルギー源です。
運動競技に取り組む人では、たんぱく質は1日あたり体重1kgにつき1.2〜2.0gが目安として示されています。これは食事と補助食品を合わせた量で、一般成人全員に必要な量を示すものではありません。※5
プロテインは、食事だけではたんぱく質が不足する場合の補助として使えます。飲むだけでFFMIが上がると考えず、食事全体とトレーニングをあわせて見直しましょう。
クレアチンは短時間・高強度の運動を支える目的で使われますが、水分保持に伴って体重が増えることもあります。BCAAの追加摂取による筋肉づくりへの効果は、十分なたんぱく質を取った場合と比べて、一貫して確認されているわけではありません。
腎臓病などで食事の指示を受けている方は、その指示を優先し、自己判断でたんぱく質やサプリメントを増やさないでください。
減量中は、体脂肪だけでなく除脂肪量も減ることがあります。食事を大きく減らすだけで進めず、必要なたんぱく質を取り、無理のない筋トレも組み合わせましょう。
減量の必要性やペースは、現在の体重、持病、体調などによって異なります。体重の減り方だけでなく、筋力や疲れやすさにも目を向けてください。
FFMIの限界と注意点
FFMIを活用するときは、次の3点を確認しましょう。
①体脂肪率は推定値
家庭用体組成計の体脂肪率は、水分状態、食事、運動、入浴などの影響を受けます。使用する機器の説明書に従い、同じ機器・できるだけ同じ条件で変化を確認してください。条件をそろえても、誤差がなくなるわけではありません。※3
②除脂肪量は筋肉量そのものではない
除脂肪量には、骨や内臓、体内の水分なども含まれます。FFMIが増えた場合も、その変化がすべて筋肉の増加によるものとは限りません。
③健康状態はほかの情報とあわせて確認する
FFMIだけでは、病気の有無や減量の必要性は判断できません。BMI、腹囲、血液検査の結果、体調なども確認しましょう。
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FFMIが低いことだけを理由に、減量薬を使うわけではありません。薬を使うかどうかも含めて、気になる点をお伝えください。

まとめ
- BMIは、身長と体重から計算する肥満度の指標ですが、筋肉と脂肪を区別できません。
- FFMIは、脂肪を除いた体重である除脂肪量を、身長の2乗で割った指標です。筋肉以外の組織や水分も含まれます。
- 男女別の参考値を見るときは、対象者の年齢や測定方法を確認し、正常・異常の境界値と混同しないようにしましょう。
- 体組成計の数値には誤差があります。同じ機器・できるだけ同じ条件で測り、1回の結果だけで判断しないことが大切です。
- 体型づくりでは、FFMIだけでなく、筋力、腹囲、体調なども確認します。減量が必要な場合は、除脂肪量の維持も意識しましょう。
- BMIとFFMIは、体の状態を考えるための手がかりです。数値を上げ下げすることだけを目標にせず、自分に合った食事や運動を続けるために活用してください。
よくある質問(FAQ)
身長・体重・体脂肪率が分かれば計算できます。まず「体重×(1−体脂肪率÷100)」で除脂肪量を求め、身長をメートルに直した値の2乗で割ります。
家庭用体組成計の体脂肪率は推定値です。機器の説明書に従い、同じ機器・できるだけ同じ条件で測って、変化を確認してください。
同じBMIでも、体脂肪率や除脂肪量は異なります。そのため、身長と体重が同じでも、体型の見え方が同じになるとは限りません。
ただし、FFMIだけで見た目や「隠れ肥満」を判定することはできません。腹囲や体脂肪率の推移なども、あわせて確認しましょう。
BMIとFFMIは、確認できることが異なります。BMIは身長に対する体重、FFMIは身長に対する除脂肪量を考える参考になります。
「健康はBMI、見た目はFFMI」と分け切らず、腹囲、体調、健診結果なども含めて判断してください。
1995年の男性アスリート157人を調べた研究では、筋肉増強用のステロイドを使用していない74人の、身長補正後のFFMIが25まで分布していました。※7
FFMIが1〜2増えたときの見た目は、一律には決まりません。FFMIは筋肉の形や、どの部位に筋肉がついたかを示す数値ではないためです。
希望する体型や運動の目的にあわせて、トレーニングの種目・負荷を調整しましょう。数値だけでなく、筋力や体調の変化も確認してください。
まずはBMIや腹囲、食事内容、体調を確認し、体重を減らす必要があるかを考えます。体脂肪率とFFMIだけで、減量を始めると決めないようにしてください。
食事を極端に減らさず、たんぱく質を含む食事と、体力に合った筋トレや日常の活動を組み合わせましょう。持病がある方や、進め方に迷う方は、医師や管理栄養士などに相談してください。
参考文献・出典
※1 日本肥満学会「肥満・肥満症の定義と診断」
参照箇所:肥満度分類、標準体重、肥満症の定義・診断。
https://www.jasso.or.jp/data/magazine/pdf/chart_A.pdf
※2 Takase M, et al.
Combined Fat Mass and Fat-free Mass Indices and Lung Function Among Japanese Population: The Tohoku Medical Megabank Community-based Cohort Study.
J Epidemiol. 2024;34(3):119–128.
参照箇所:Methods「Study design and population」「Anthropometry」、Table 1・2。
本記事では、FFMIの計算方法と、研究参加者の人数・年齢・FFMIの中央値・四分位範囲を参照。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/34/3/34_JE20220355/_pdf
※3 タニタ「体組成計の正しい使い方」
2021年10月1日掲載。
参照箇所:体組成計の測定原理、測定条件、水分変動、測定するタイミング。
https://www.tanita.co.jp/magazine/column/4788/
※4 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
「筋力トレーニングについて」
参照箇所:成人・高齢者への週2〜3日の推奨、全身の筋肉を使う運動、負荷の調整と休息。
https://www.mhlw.go.jp/content/001195869.pdf
※5 米国国立衛生研究所(NIH)栄養補助食品局
Dietary Supplements for Exercise and Athletic Performance — Health Professional Fact Sheet.
参照箇所:「Protein」「Creatine」「Branched-chain amino acids」。
本記事では、競技者のたんぱく質摂取の目安、補助食品の位置付け、クレアチンと水分保持、BCAAに関する説明を参照。
https://ods.od.nih.gov/factsheets/ExerciseAndAthleticPerformance-HealthProfessional/
※6 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
「1-2 たんぱく質」
参照箇所:成人の摂取基準、生活習慣病の重症化予防に関する記述。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316462.pdf
※7 Kouri EM, Pope HG Jr, Katz DL, Oliva P.
Fat-free mass index in users and nonusers of anabolic-androgenic steroids.
Clin J Sport Med. 1995;5(4):223–228.
参照箇所:抄録の対象者、身長補正の方法、非使用者のFFMIに関する結果。
https://doi.org/10.1097/00042752-199510000-00003
※8 Mimipo公式「メディカルダイエット・肥満症」
参照箇所:LINEからのオンライン診療予約の案内。
医学的説明の根拠ではなく、記事内の診療案内の確認に使用。
閲覧日:2026年10月1日

目白ホワイトクリニック
塩之入 温 医師
内科(総合内科)
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美容医療、内科、産婦人科、歯科を展開する目白のクリニック。オンライン診療も行っており、年間数万人の患者を診察している。
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