
「基礎代謝を上げたい」
「最近太りやすくなった」
「運動以外で代謝を上げる方法が知りたい」
体重管理を考えるときは、運動だけでなく、食事や睡眠、日常の活動も見直したいポイントです。
ただし、食後に消費エネルギーが増えることや、入浴で体が温まることが、そのまま基礎代謝の持続的な上昇を意味するわけではありません。
この記事では、基礎代謝の仕組みを確認しながら、忙しくてジムに通いにくい方も取り入れやすい食事・生活習慣の工夫を紹介します。
この記事の結論
- 基礎代謝は、安静時に生命を維持するために使われるエネルギーです。食事や日常の活動によるエネルギー消費とは区別して考えます。
- 極端に食事を減らすより、必要な栄養をとり、睡眠を確保し、日常で動く機会を増やすことから始めましょう。筋肉量を保つことも意識します。
- サウナや入浴で汗をかいても、体脂肪が減ったとは限りません。基礎代謝の数字だけでなく、体重・腹囲・体調の変化も確認しましょう。
基礎代謝とは?

基礎代謝とは、生命を維持するために必要な最低限のエネルギー消費です。呼吸や心臓の働き、体温の維持などのために、安静時にもエネルギーが使われています。
身体活動量が標準的な場合、1日の総エネルギー消費に占める基礎代謝の割合は、約60%とされています。残りには、食事の消化・吸収などに伴う消費と、運動や家事・通勤などの活動による消費が含まれます。※1
基礎代謝量は、性別だけでなく、年齢や体格などによっても変わります。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、30〜49歳の参照体重における基礎代謝量として、次の値が示されています。
- 女性:参照体重53.3kgで1日1,170kcal
- 男性:参照体重70.0kgで1日1,570kcal
これは一定の条件で示された参考値であり、すべての成人に当てはまる値ではありません。また、1日に食事からとるべきエネルギー量を示すものでもありません。※2
基礎代謝が下がる原因とは?
基礎代謝量には、筋肉や内臓など、脂肪以外の部分である「除脂肪量」が関わります。加齢に伴う除脂肪量の減少などは、基礎代謝量が低下する要因の一つです。※3
ただし、年齢だけで一律に決まるわけではありません。体格や体の構成には個人差があり、日常の活動量によっても1日の消費エネルギーは変わります。
食事を極端に減らす方法は避け、必要な栄養をとることと、無理のない範囲で体を動かすことを考えましょう。
「代謝が落ちた」と感じたら確認したいこと
- 食事の量や内容が変わっていないか
- 歩く時間や日常の活動が減っていないか
- 睡眠や体調に変化がないか
疲れやすさや体重の変化だけで、基礎代謝の低下とは判断できません。不調が続く場合は、医療機関に相談してください。
食生活で代謝を支える

食事の後は、消化・吸収などに伴ってエネルギーが消費されます。これは「食事誘発性熱産生」と呼ばれ、基礎代謝とは別のものです。特定の食品で基礎代謝を上げようとするより、必要なエネルギーと栄養素を、偏りなくとることを考えましょう。
栄養素・食品 | 働き | 食品例 |
|---|---|---|
タンパク質 | 筋肉を作り代謝維持に必要 | 肉・魚・卵・大豆製品 |
ビタミンB群 | 糖質・脂質などからエネルギーをつくる働きを助ける | 豚肉・卵・玄米 |
鉄・亜鉛 | 酵素の働きを助ける | 赤身肉・貝類・レバー |
スパイス | 香りや辛みを加え、食事の味付けに活用できる | 唐辛子・シナモン |
栄養素の働きは「日本人の食事摂取基準(2025年版)」を参照。※5
必要な栄養素をとることと、必要量を超えてとれば基礎代謝が上がることは別です。スパイスも、代謝を上げるために多く使うのではなく、食事を楽しむ工夫として取り入れましょう。
朝食は、1日に必要な栄養をとり、生活リズムを整える機会になります。主食に、卵や納豆、乳製品などのたんぱく質を含む食品を組み合わせると、食事の内容を整えやすくなります。
ただし、朝食を食べるだけで基礎代謝が上がり、痩せると決まるわけではありません。朝食だけでなく、1日全体の食事量と栄養のバランスで考えましょう。
水分は、栄養素の運搬や体温調節などに必要です。ただし、水を多く飲むことが、そのまま基礎代謝の上昇につながるわけではありません。
水分は飲み物だけでなく食事からもとっています。必要な量は、体格、気温、活動量、汗のかき方などによって変わるため、「代謝を上げるために全員が1日1.5〜2L飲む」とは考えず、状況に合わせてこまめに補給しましょう。※6
心臓や腎臓の病気などで水分量の指示を受けている方は、その指示に従ってください。
生活習慣で代謝リズムを整える

体重管理を考えるときは、睡眠や生活リズムも確認しましょう。十分に休めているか、食事や起床の時間が大きくずれていないかを振り返ります。
睡眠や深呼吸で基礎代謝を直接上げようとするのではなく、無理なく生活を整えることがポイントです。
- 睡眠:必要な睡眠時間を確保し、起きたときに休まった感覚があるかを確認する
- 体内時計:朝の光を浴び、起床や食事の時間をできるだけそろえる
- 姿勢・呼吸:座りっぱなしを避け、ときどき姿勢を変える。深呼吸はリラックスのために取り入れる
眠る前にリラックスする習慣を
眠る前は、明るい照明やスマートフォンの画面を避け、落ち着いて過ごす時間をつくりましょう。無理のない入浴や深呼吸など、自分が休みやすい方法を取り入れます。
「ストレスを減らせば基礎代謝が上がる」と考えるのではなく、眠りやすい環境と休息を整えるための工夫として続けましょう。
睡眠の質を高めるためのポイント
寝る直前のスマートフォンやテレビの使用を控える、寝室の環境を整えるといった工夫が大切です。
寝室の温度や寝具は、季節や体感に合わせて調整します。暑さや寒さ、光、音で眠りが妨げられない環境を整えましょう。※7
温活は休息・リラックスに活用する

入浴などで体を温める習慣は、休息やリラックスのために取り入れられます。ただし、一時的に体が温まることと、安静時の基礎代謝量が持続的に増えることは別です。
- サウナ:汗をかく量や入る時間を競わず、体調に合わせて利用する。発汗後の体重減少を、体脂肪の減少と考えない
- 半身浴・入浴:熱すぎるお湯や長湯を避け、心地よく過ごせる範囲で取り入れる
- 温かい飲み物:水分補給の選択肢として、飲みやすい温度で楽しむ。基礎代謝を上げるために無理に熱いものを飲む必要はない
サウナでは、こまめな水分補給を心がけ、飲酒後や体調が悪いときの利用は避けてください。めまいなどの異変があれば我慢せず、利用を中止しましょう。※8
筋トレと組み合わせる
筋肉量や筋力を保つためには、食事だけでなく筋トレも役立ちます。厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人・高齢者に週2〜3日の筋トレを勧めています。※9
ただし、一定の頻度で行えば必ず基礎代謝が上がる、という意味ではありません。初めての方は無理のない負荷から始め、筋肉を休ませる日も取りながら続けましょう。
手軽に取り組めるエクササイズを習慣化することがポイントです。
通勤や買い物のときに、無理のない範囲で階段を使う、歩く時間を増やすなど、日常の活動を増やす方法もあります。これは主に、活動によるエネルギー消費を増やす工夫です。
椅子に座ったままの足上げ運動や、デスク前での軽いストレッチも、座りっぱなしを中断するきっかけになります。基礎代謝の上昇だけを目標にせず、動きやすさや体力の変化も確認しましょう。
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「代謝が落ちた気がする」という感覚だけで薬を選ぶのではなく、体重や体調の変化、気になることをお伝えください。

まとめ
- 基礎代謝は、安静時に生命を維持するためのエネルギー消費です。食事や活動による消費とは区別して考えます。
- 食事は極端に減らさず、必要なエネルギーと栄養素を偏りなくとりましょう。
- 睡眠や生活リズムを整え、体を休める時間を確保することも、体重管理を考えるうえで大切です。
- サウナや入浴は、休息やリラックスのために活用します。汗をかいた量を、脂肪が減った量と考えないようにしましょう。
- 筋トレと日常の活動を、体力に合わせて取り入れます。基礎代謝の数字だけでなく、筋力や体調の変化も確認してください。
まずは、食事・睡眠・日常の活動のうち、続けられることから見直してみましょう。体重管理の進め方に迷う場合は、医師や管理栄養士などに相談する方法もあります。
FAQ
基礎代謝だけで、何キロ痩せるかは決まりません。体重の変化には、食事からとるエネルギーと、基礎代謝・日常の活動などで使うエネルギーの両方が関わります。
必要な栄養をとり、睡眠や生活リズムを整えることは健康管理の基本ですが、それだけで基礎代謝が必ず上がるとはいえません。
運動の時間が取りにくい方は、家事や移動で体を動かす機会を増やす方法もあります。これらは主に、活動によるエネルギー消費を増やす工夫です。
年齢だけで原因は決まりません。体格や筋肉などの除脂肪量、食事量、日常の活動量の変化も関わります。
「年齢のせい」と決め付けず、以前と比べて食事や動く時間がどう変わったかを振り返ってみましょう。
サウナで体が温まることと、安静時の基礎代謝量が持続的に増えることは別です。汗をかいた後に体重が減っても、体脂肪が減ったとは限りません。
体重を落とすために長時間入るのではなく、体調に合わせて無理なく利用してください。
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参考文献・出典
※1 厚生労働省「身体活動とエネルギー代謝」
参照箇所:基礎代謝、食事誘発性熱産生、身体活動によるエネルギー消費と、それぞれの割合。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-02-003.html
※2 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
「エネルギー」
参照箇所:2-3-1「基礎代謝量基準値」、表3「参照体重における基礎代謝量」。
本記事では、30〜49歳の参照体重と基礎代謝量を参照。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316461.pdf
※3 厚生労働省「加齢とエネルギー代謝」
参照箇所:加齢、除脂肪量、基礎代謝量の関係。
本記事では一般的な関係を参照し、同ページ内の旧版の食事摂取基準に基づく数値は使用していません。
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-07-002.html
※4 Takase M, et al.
Combined Fat Mass and Fat-free Mass Indices and Lung Function Among Japanese Population: The Tohoku Medical Megabank Community-based Cohort Study.
J Epidemiol. 2024;34(3):119–128.
参照箇所:Introduction、Methods「Anthropometry」。
本記事では、除脂肪量指数(FFMI)の定義・計算方法を参照。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jea/34/3/34_JE20220355/_article
※5 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
参照箇所:「たんぱく質」「ビタミン(水溶性ビタミン)」「ミネラル(微量ミネラル)」の基本的事項・機能。
本記事では、栄養素表のたんぱく質、ビタミンB群、鉄・亜鉛の働きを確認。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf
※6 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
「(参考)水」
参照箇所:水の機能、摂取源、必要量に関する説明。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316470.pdf
※7 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
2024年2月。
参照箇所:睡眠と光・温度・音などの環境、運動・食事等の生活習慣に関する説明。
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001222166.pdf
※8 消費者庁「サウナ浴での事故に注意―体調に合わせて無理せず安全に―」
2024年6月5日公表。
参照箇所:3「御注意いただきたいポイント」。
本記事では、体調の確認、水分補給、無理な長時間利用を避けることなど、安全な利用に関する説明を参照。
※9 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
「筋力トレーニングについて」
参照箇所:成人・高齢者への週2〜3日の推奨、負荷の調整、休息。
https://www.mhlw.go.jp/content/001195869.pdf
※10 Mimipo公式サイト
参照箇所:オンライン診療の流れ、LINEからの予約案内。
医学的説明の根拠ではなく、記事内の診療案内の確認に使用。
閲覧日:2026年10月2日

目白ホワイトクリニック
塩之入 温 医師
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